管理会計システム改革のビジョン

電気機器メーカーA社は、生産革新活動(トヨタ生産方式の導入)に伴い、管理会計システムの再構築を行いました。
本資料は、新しい管理会計システムのビジョンとして作成したものです。


プル型生産支援型の管理会計業務枠組みづくり

当社の製造プロセスは、プル型生産(JIT)を志向する生産革新を鋭意進めてきた。
しかし、プル型生産に適合すべき本社の管理会計の枠組みは、さまざまな疑問点を内包しながらも特に見直されることなく、今日に至っている。
そこで、今回、進展中の生産革新を支援する本社サイドの管理会計の仕組みの確立をプロジェクトとして立ち上げる。
これにより、本社・工場の一貫性ある、感度と応答性の高いJITに対応する経営システムの構築をはかる。


①問題の焦点を、既存の管理資料、管理指標および業績評価のしくみにおいて、これらのJIT生産の目指す方向との整合性を確認、調整する。

②この機会に、従来も提起されていた経営資料、指標をめぐる問題意識のたな卸しと解決方向の明確化を行い、経営管理情報の質と効率の向上につなげる。


③アプローチの切り口は、月末・期末の予実統制を中心とする単年度主義の財務会計の限界を克服して、過去の実績トレンド比較と将来展望を「視える化」し、業績評価をJIT生産指向と整合させて、経営管理行動の正確化と迅速化をはかることである。
過去の自分、昨日の自分の姿を正確に捉えてこれを明日には少しでも改善し、進化する。
これがJIT生産の本質であり、本社管理業務もまた当然そうあるべきだ。

④あわせて、管理者全員には次のような諸点について忌憚の無い問題提起と調査立案段階への協力をお願いする。

    Key Questions
     ・それは、何のための資料、指標であるか
     ・その資料、指標は、何の役に立っているか(どのような付加価値があるか)
     ・その資料、指標から何を汲み取ればよいか 
     ・その資料からどのようなアクションが期待されているか
     ・その資料を作るための手間と効果は見合っているか


<問題認識/コンセプト>
・伝統的な「規模の経済」型経営を前提に構築された現行の会計管理方法は、JITの目指す物流やキャッシュフロー視点から
 の問題の解決を支援しないどころか、逆機能となっている。

・JIT生産を開始すると、キャッシュフローは改善するが、損益は一時的に悪化する。
 その認識がないため、せっかく導入したJITが元の木阿弥に戻る例が多い。 

・工場のJIT改善が進み出したら、機を失せず本社側の情報の質を整備することが必要。
 これを怠り、JITが失敗に帰する例が少なくない。

・配賦部分を含む発生主義会計準拠の伝統的業績評価は、プル生産対応と公平性の観点からの見直し余地がある。

・単年度の期間を区切って計算する財務情報準拠の予実対比から読み取れる情報は極めて限られるため、予算管理は儀式化、形骸化
 しがちである。
 トレンド情報を組み込むことで、この弊害は防止可能である。


管理会計システム改革については、こちらの資料をご参照ください。
 

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